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第11〜20話は、チョン・チスという人間の本質が少しずつ剥き出しになっていく展開でした。幼い頃の傷を打ち明け、ミグムに心を開いたと思ったら、その同じ口で嘘をついて彼女を捨てる。そしてイム・サンオクは公金流用という失態を犯しながら、逆に本店書記へと大抜擢される。二人の行く先が完全に逆転してしまう回です。チスが松商に渡ってからの相場操作や、「金を敷けば盗賊とは呼ばれない」という台詞まで、見ていてじわじわとしんどくなるエピソードが続きます。
チスが自分の過去を語った夜
チョン・チスのもとに母親が訪ねてくる場面から、この10話は動き始めます。科挙を受けてほしいという母親の願いをチスが断るのは、単なる意地ではなかった。幼い頃、病気の弟が苦しんでいるのに、没落した両班だった父親が「物乞いはできない」という見栄ひとつで薬代を工面しようとせず、弟を見殺しにしていたという過去があったんですよね。
その出来事がチスの価値観をすべて決定づけていた。自分の気持ちを表に出さない癖も、両班の虚栄を嫌うのも、全部あの夜から来ている。それをチスはホン・ミグムにだけ打ち明けます。ミグムはそれを聞いてすぐ父親のホン・ドゥクチュのところへ走り、「今すぐ結婚させてほしい」と頼み込む。
この告白のシーン、チスが淡々と話すぶん余計に重くて、ミグムの反応が「うれしい」より先に「ちゃんと受け止めた」って感じに見えて、そこが良かったです。
サンオクの燕京事件と本店書記への大抜擢
一方、イム・サンオクは燕京で公金を使って妓生のチャン・ミリョンを救うという事件を起こします。湾商から追い出されても不思議じゃない状況なんですが、ホン・ドゥクチュがその事情を聞いた上で、逆にサンオクを本店の書記に大抜擢するという判断を下す。
これ、普通に考えたらあり得ない人事なんですよね。でも、ドゥクチュがどういう目線でサンオクを見ているか、この場面でじわっとわかる気がしました。失敗の内容より、なぜそうしたかを聞こうとする人なんだなと。サンオクが自分の行動を説明するときの、弁解ではなくただ事実を話している感じの表情で、そのあたりを察しました。
松商からの誘いと、ミグムへの嘘
松商のパク・チュミョンから引き抜きの誘いを受けたチスが、湾商に残るか松商へ移るかで揺れます。最終的にチスが選んだのは松商でした。しかし問題は選択そのものより、その方法です。
「母親のところへ行く」と嘘をついてパク・チュミョンに会いに行き、ミグムとの結婚も延期する。そして「湾商を裏切って来い」という条件に応えるために自作自演まで仕掛けて、「もう湾商には戻れません。私を収めてください」と告げる。湾商とミグムを捨てて松商に入った後、道端でミグムと鉢合わせになっても、チスは知らないふりで立ち去ってしまいます。
嘘をついてまで動く人間だとはわかっていても、すれ違いざまに知らんぷりするシーンはちょっときつかった。あれはミグムの顔を見られなかっただけなのか、本当に切り捨てたのか、どっちとも読めて余計しんどい。
松商に入ってからのチスとタニョンへのアプローチ
松商に入ったチスは夜中に動いて、サンオク側の人物を引き入れようと工作します。さらにパク・タニョンに対して「松房に来てから一度も言葉を交わしてくれない、警戒しないでほしい、すべての事を相談し力になる」と近づこうとします。
ただ、タニョンはすでにイム・サンオクと惹かれ合う関係になっていて、チスの接近はうまくいきません。チスがタニョンに近づく動機が打算なのか、それとも別の何かがあるのかは、この時点ではまだはっきりしない。でもタニョンが「警戒しないでください」と言われて逆に警戒を強めるような表情をしていたのが、なんか正しい反応だなと思いました。
相場操作と「金を地面に敷けば」
松商の人間になったチスは、楮(コウゾ)を買い占めて紙の値段を吊り上げます。ところが湾商がその流れで利益を得そうになると、今度は偽の狼煙を上げさせて戦乱が起きたかのように見せかけ、紙の値段を暴落させる。裏では別の金儲けの計画を動かして、小規模な商人たちの商売からまで利益を奪おうとする。
パク・タニョンが「商道を重んじていては湾商に勝てないのですか」と問うと、チスは言い切ります。「湾商の隙を利用して利益を残すのが私の商道。金を稼げない商人はすでに商人ではない」「目の前に金を敷き詰めれば、誰も私を盗賊と罵る人はいない」と。
そして皮肉なことに、こうして積み上げたチスの計画はすべてイム・サンオクの妨害によって潰されます。「地面に金を敷けば盗賊とは呼ばれない」って台詞、間違ってないのがまたきつくて。でもそう言い切った瞬間にチスが何か取り返しのつかないものを手放した気がして、そこが引っかかって離れないです。
この10話全体の感想
正直、チスに対してどう感情を置けばいいか迷い続けた10話間でした。弟を見殺しにされた子供の話は本当にしんどくて、そのチスがミグムに打ち明けた夜は、ああこの人の核心に触れたんだと思った。なのに数話後には同じ人間が嘘をついて彼女を捨てている。矛盾してるわけじゃないのが余計つらい。傷があるからこそ、金と力にしか頼れない方向へ振り切ってしまった、というのが一本の線でつながってしまうので。サンオクとチスが同じ出発点から逆方向に進んでいく構造が、この10話ではっきり見えてきたな、という印象です。第20話の時点でチスは松商に完全に腰を落ち着け、サンオクは本店書記として湾商の中枢に立っています。
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