商道(サンド) 第1〜10話 あらすじ チスの業績横取りと松商の引き抜き

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訳官を夢見ていた若者が無実の事件で夢を絶たれ、商団の末端から出直す——「商道(サンド)」はそんなイム・サンオクの再出発を軸に動き出します。でも序盤でいちばん目を引くのは、もう一人の男、書記のチョン・チスです。大人しくて無口で金の世界に溶け込めないふりをしているけれど、妓房では「いつか朝鮮の商人たちを自分の足下に置く」と言い切る人物。第1〜10話はこの二人が同じ商団に入り込み、意図しない形で互いの進路をこじらせていく前半戦です。

訳官の夢が断たれてから

イム・サンオクはもともと訳官を目指していました。訳官は朝鮮時代の通訳官で、外交・貿易の最前線に立つ職種です。その道を歩んでいたサンオクが、無実の事件に巻き込まれて志を断たれてしまいます。行き場を失った彼が辿り着いたのが、義州を拠点に清との貿易を行う商団「湾商(マンサン)」でした。入れてもらったのは末端の使喚(小間使い)として。配属先は真鍮を扱う真鍮店(鍮器廛)です。訳官として磨いてきた頭の良さが、今は商いの現場で使われることになる。そういう始まりです。

サンオクがどんな顔でここに来たのか、あまり表情で語ってくれないぶん、こっちが「これ、相当きついよな」って補いながら見てる感じがずっとありました。

チスという男の二面性

湾商の本店書記、チョン・チスは没落両班の出身です。元は両班の家の生まれながら今は没落していて、金に恨みを抱えながら商人の下で働いている。いつも同じ服を着ていて、本店で筆を握っているだけで商売を知らないと周囲から陰口を叩かれています。外から見るとそういう人物です。

でも妓房では違う顔を見せます。妓生に「若旦那」と呼ばれることに満足して、「金が全てだと思っている商人たちの顔色をうかがう自分が情けない」と鬱憤を吐き出しながら、「いつか朝鮮の商人たちを自分の足下に置く」とも言い切る。矛盾しているようで、全部本音なんだろうと思います。

湾商の都房(トバン)ホン・ドゥクチュはチスを「湾商だけでなく朝鮮商界を全て知ったとしても見つけるのが難しい逸材」と評価しています。ただ裏では「心の内が読めないから婿にして湾商を継がせるには不安がある」とも漏らしていて。娘のミグムはチスに好意を寄せており、妻もチスを婿候補として気に入っている。外堀を埋められている状況ですが、チスがそれをどう受け止めているのかが見えません。

「心の内が読めない」ってドゥクチュが言った瞬間、この人も分かってるんだと思いました。高く評価してるけど信用しきれてない、その距離感が正直すぎて。

真鍮店での意図せぬ横取り

チスが真鍮店に派遣されてきます。仕事のできない店主を厳しく叱責し、現場を立て直していく。チスが有能であることはここでもはっきり示されます。そしてサンオクが真鍮の商売をうまくやって帰ってくる。ここからがまずくて、チスがサンオクの業績を指摘したうえで自らも直接真鍮を売りに行く流れになり、結果的にチスがサンオクの業績を横取りする形になってしまいます。チス自身もそれに気づいて訂正しようとしたとのことで、悪意があったわけではありません。ただ、成り行きでそうなった。

チスも驚いて訂正しようとしたって、そこが余計にきついんですよね。どっちも悪者にならないのに、ちゃんとした傷だけが残っていく感じで。

燕京での公金事件

サンオクは燕京(北京)へ赴き、そこで公金を使って妓女チャン・ミリョンを救う事件を起こします。訳官を目指した人間が、今度は商人として公金流用という重い事態を引き起こす。商売を学びながら前に進もうとしているのに、何かを守ろうとするたびに自分の足場を自分で削っていく。サンオクがそういう人物なのかもしれないと感じ始めるのはここからです。

訳官の夢を断たれて、次は公金流用。サンオクの「代償を払いながら前に進む」パターンがここで一つ見えてくる気がして、それがちょっとしんどかったです。

松商の誘いとチスの揺らぎ

開城を拠点とし湾商を執拗に牽制している商団「松商(ソンサン)」が動き出します。清との貿易にまで手を伸ばそうとしている松商のパク・チュミョンが、チスの能力に目をつけて引き抜きの誘いをかけてくるのです。チスは思い悩みます。今いる湾商では「心の内が読めない」と評されて、外からは「商売を知らない書記」と陰口を叩かれている。別の場所でやり直す機会が目の前にある。「朝鮮の商人たちを自分の足下に置く」という野心と、この誘いは一致しているようで、何かがズレている気もする。第10話時点でチスはまだ揺れています。

「いつか足下に置く」と言った人間が引き抜かれる側に立っているのが、じわじわきます。それって結局、誰かに評価されないと次に進めないってことで。

この10話全体の感想

チスという人物の描き方がずっと引っかかっています。有能で、野心があって、ちゃんと評価されていて、でも自分では「情けない」と感じている。「他人から見た自分」と「自分が望む自分」のズレを、あまり説明せずに見せてくる。チスが怖いのは、間違ったことをしているわけじゃないのに「この人は何かをやる」という予感がするところです。業績の横取りも悪意じゃなかったのに横取りになった。そういう「本人に悪気はないのに傷が残る」ことが積み重なるのが、このドラマ前半の肌触りだと思っています。第10話時点でチスは松商の誘いを前にして揺れており、サンオクは燕京での公金事件という重荷を抱えた状態です。

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